研究概要 |
今年度は、まず昨年度収集した703家族のアフリカ系アメリカ人の家族データを拡充することから調査をスタートした。8月8日から9月27日までの渡米調査期間のうち、8月12日から9月22日までの約40日間をこの科研のための調査期間に当てて、昨年度収集することができなかったこの地区最大のアフリカ系アメリカ人居住地区であるヘイタイの家族データ(548家族)を追加した。これによって、この研究で扱う分析対象地区のアフリカ系アメリカ人は、全部で1,261家族、4,088人、白人については306家族、1,251人となった。 この収集したデータについて、アフリカ系アメリカ人のデータを白人のものと対照比較することによって、1900年の段階でのアフリカ系アメリカ人の家族構成の特徴を分析した。さらに、このふたつのグループの間に見られる違いを解釈するために、ノースカロライナ大学およびデューク大学に残されているオーラル・ヒストリーの史料を聞き、移住に伴う家族とコミュニティの役割についての具体的な事例を収集した。 これらの調査と分析から得られた知見は、「外に向かって開かれた家族とコミュニティ-1900年、ノースキャロライナ州ダーラム市のアフリカ系アメリカ人たち-」と題する論文にまとめて、樋口映美編著『流動する〈黒人〉コミュニティ-アメリカ史を問う-』(彩流社)の第2章として2012年2月に公刊した。
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