研究概要 |
昨年度までに収集したデータをもとに、今年度はダーラム市に居住していたアフリカ系アメリカ人の具体的な生活環境を考察するために、ノースカロライナ大学図書館に所蔵されているオーラル史料"The Hayti Spectrum: Documenting Negro Life of the 1920s, '30s, and '40s in Durham, N.C."を調査した。これは"Hayti"地区に住んでいた46人分のインタビュー聞き取り調査を120本余りのカセットテープに収めたものであるが、7月26日から9月5日まで現地を訪れてこのコレクションを調査した。 この問題を整理し考察する過程で、黒人奴隷制度のあった時代に白人所有者の家庭の中で働いていた家内奴隷の環境と解放後自由な労働者として白人家庭の中で働いた家事労働者の環境との間の相違は何か、さらに20世紀になって「住み込み」から「通い」へと労働の環境が変化することによってどんな変化が生じてきたのかという問題を詳細に検討する必要があることが明らかになった。4月から12月までこの問題を掘り下げて考察し、6月と10月に2度共立女子大学と北海学園大学で開かれた研究会において試論を口頭発表し、アメリカ合衆国南部を対象とした歴史研究者と意見を交換した。これは近い将来に(2013年度中に)論文として発表する予定である。
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