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2010 年度 実績報告書

中世後期スイス都市・農村関係における移動と統合

研究課題

研究課題/領域番号 22520740
研究機関金沢大学

研究代表者

田中 俊之  金沢大学, 歴史言語文化学系, 准教授 (00303248)

キーワード中世史 / スイス / 地域社会 / 紛争 / 統合 / 盟約者団国家
研究概要

本科研課題の採択通知が10月下旬になって出たため、すでに準備し始めていた新規の科研申請課題(本研究課題が採択されたため差戻し)との調整に少し手間取ったが、適切かつ最小限の軌道修正により、本研究課題の目的と意義に適ったテーマをより厳密化し、研究を進めた。具体的には、15世紀後半のスイス北西部の一村落で起こったイムリ紛争と呼ばれる村落内紛争に関するラント裁判記録の判読、分析に取り組んだ。
その結果、スイス北西部のシスガウ・ラントグラーフシャフト管轄区においては、この管轄区を単位にラント裁判区が形成され、裁判区内の農民エリートたちがラントグラーフの名のもとに裁判を主導し、地域秩序の維持・形成に積極的な役割を果たしていたこと、またハプスブルク家の家人層に起源をもつと思われる在地の領主層が助言者として間接的に関与し、農民主導の裁判の正当性を保証する役割を果たしていたこと、さらに最終的に都市がラントグラーフの地位を獲得することによって判決にも強い影響を与えたことが見えてきた。
この分析結果は、紛争解決のプロセスを通じて地域の権力構造(都市、在地領主層、農民)と地域秩序との関係を浮き彫りにするものであり、地域社会の統合のあり方、あるいはのちに盟約者団国家に編入される地域の構造の解明という観点から大きな意義をもつ。来年度は、この点をより深化させ、移動という観点にも可能性を見いだすべく、裁判記録のさらなる分析や、他の紛争史料へのアクセスを試みる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 15世紀後半北西スイスのラント裁判史料(その1)-イムリ紛争:第1回公判、第2回公判、第3回公判-2011

    • 著者名/発表者名
      田中俊之
    • 雑誌名

      金沢大学歴史言語文化学系論集

      巻: No.3 ページ: 165-256

  • [図書] スイス史研究の新地平-都市・農村・国家-2011

    • 著者名/発表者名
      踊共二・岩井隆夫
    • 総ページ数
      142-162
    • 出版者
      昭和堂

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公開日: 2012-07-19  

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