レーニン時代のソヴェト初期体制は、民衆対コムニストとの対立を基盤としたため、民衆への抑圧が必然化された。だが、軍事力の動員には限界があり、この抑圧機関としてチェー・カーを中心とする「赤色テロル」の行使が不可欠であった。従来は、ソヴェト=ロシア史の裏で登場するチェー・カーこそが当時の支配体制の根幹であった。この機関を中心に発生する様々悲劇を、割当徴発の実施、割当徴発から新経済政策への政策転換、クロンシタット反乱とアントーノフ蜂起、教会弾圧の状況下で具体的に検討した。そこで見えてくるのは、党エリートの特権を擁護するための様々な反民衆的政策の具体化である。
|