7月にロンドンのBritish Library、オクスフォードのBodleian Library、ダラムのDurham University LibraryおよびDurham Cathedral Library、ヨークのBorthwick Instituteにて集中的な史料調査を行った。手稿史料は筆写と撮影を行い、帰国後データの整理を行った。 調査の主要な対象は、(1)これまでの調査活動に継続して、イングランド議会を中心とする内戦期の教会政策に関する史料(主にロンドン)、(2)クリストファー・ラヴの長老派陰謀事件に関する史料(ロンドンおよびオクスフォード)、(3)チャールズ1世親政期から内戦期のダラム大聖堂とその参事会にかんする史料(主にダラムおよびヨーク)であった。 その成果として、(1)第二次内戦(1648年~)以降の長老派ピューリタンとイングランド政府の緊張関係についての理解を深めることができ、また(2)長老派ネットワークにおけるクリストファー・ラヴの位置と、その裁判・処刑をめぐるイングランド各地の反応についての実証的研究を進めることができた。(3)ダラム大聖堂は平成24年度に新たに着手したサブ・トピックであり、今後も調査の継続が必要であるが、1620~30年代の聖堂参事会議事録の保存状態について確認をし、親政期から内戦期にかけての教会統治の動揺をロンドンではなく北部の辺境地から考察する足がかりを得ることができた。 研究成果の発表としては、共著『複合国家イギリスの宗教と社会』に、クリストファー・ラヴとロンドン長老派ネットワークの政治的位置について、スコットランド教会との関わりから詳細に解説を行った。またダラム大聖堂についての調査結果は、2月に一橋大学にて90分ほどの研究報告を行った。現在、研究課題全体の総括となる、クリストファー・ラヴを中心とする論文を準備中である。
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