研究課題/領域番号 |
22520754
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
伊賀上 菜穂 中央大学, 総合政策学部, 准教授 (10346140)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 満洲 / ロシア / コサック(カザーク) / 移住 / ディアスポラ / 満蒙開拓 / 呼倫貝爾(ホロンバイル) / 三河(さんが) |
研究概要 |
平成24(2012)年度7月に研究中断から復帰し、前年度からの研究計画を継続して実施した。その主な内容は以下の3点である。 第一に、旧「満洲国」時代に日本人が三河地方で行った研究内容を海外に紹介するために、『三河露人農家の農業経営調査報告』(満鉄調査部、1943年)の翻訳作業を進めた。ロシア人研究者の助言も受けながら、90%程度の翻訳が終了した。今後は訳語(特に固有名詞)のチェック、全体構成の検討、および校正作業を行なう予定である。このほか、本翻訳の解説論文の一部として、日本人による三河研究に関して論文を執筆中である。 第二に、旧満洲における古儀式派容僧派(ベロクリニーツァ派)集団の動向について、「ロシア正教古儀式派教会における本国と亡命者社会の連関-ソ連・旧『満洲』往復書簡より-」と題する論文を執筆した。これは論文集『満洲の中のロシア』(成文社)に収録されて、単行本として刊行された。 第三に、旧満洲におけるロシア人と日本人の接触をテーマとした論文集のために、日本人と三河地方コサックの関係に関する論文を執筆した。またロシア人研究者が三河コサックについて執筆した論文を和訳した。論文集は来年度に刊行予定であり、現在校正作業を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度途中に育児休暇から復帰したが、保育事情により海外・国内調査(出張)が大幅に制限された。そのため、海外や国内での資料調査や情報収集が研究課題申請時の予定ほど進展していない。 年度当初の研究実施計画については、翻訳作業、三河コサックに関する日本語論文の執筆は、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も個人的事情によって海外での調査活動が不可能である。そのため今後も、国内での研究報告、翻訳作業、取得資料の分析、そして論文執筆を中心に研究を推進する。 資料の翻訳・紹介については、年度末までの公開に向けて準備を重ねる。 またロシアの研究協力者(イヴァン・シェヴニン氏)を日本に招聘し、学術シンポジウムのパネルでの研究報告を担当してもらうとともに、情報交換や翻訳への助言を要請する。
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