本研究ではロシア帝国で特殊な軍事身分を形成していたコサック(カザーク)住民が、日本の傀儡国家「満洲国」の統治下で築き上げた社会関係を調査した。特に注目したのは、コサック最大の集住地だった三河地方の農村社会である。当時の日本語メディアに表れる三河コサックのイメージ、ロシア語史料に記された日本人とコサックとの関係の分析から、日本人とコサックたちとの相互関係ならびに齟齬を、当時の権力関係に留意しながら解読した。また当時日本の研究機関が行ったコサック農業に関する研究報告書をロシア語に翻訳することで、関係者への情報の還元を実施するとともに、今後研究ネットワークを拡大していくための基盤を形成した。
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