研究課題/領域番号 |
22520760
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
田中 裕 茨城大学, 人文学部, 准教授 (00451667)
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キーワード | 歴史的景観 / 豪族居館 / 古代東海道 / 台渡里官衙遺跡群 / 地名調査 / レーダー探査 / 二所神社古墳 / 国郡制 |
研究概要 |
『常陸国風土記』にみえる歴史的景観を考古学的に復原し、古代における地域運営の実態を描く目的から、郡家推定地:茨城県水戸市台渡里官衙遺跡群での発掘により明らかになっていた、郡家に先立つ豪族居館について、未整理資料の整理作業を行い、今年度は遺物実測・トレースを行いながら分析を行った。この分析に際し、同遺跡群周辺の「字名・地名調査」を実施した。同遺跡群は那賀郡家であるだけでなく、『常陸国風土記』に拠れば、東海道が近接し、かつ駅家も近在することが想定される。それらの位置関係は古代の地方政治中枢の実態解明にとって重要である。このため、位置関係を絞り込むことのできる何らかの痕跡を探るため実施したものである。その結果、巨大な道路に関する地名を多く拾い出すことができた。これらの成果は、上記台渡里官衙遺跡群の発掘調査報告とともに、平成23年度茨城大学人文学部地域史シンポジウムにおいて発表した。なお、当初計画書で企図したシンポジウム開催については、研究費圧縮に伴い断念し、関連するシンポジウムでの発表と、それにあわせた展示発表(パネルセッション)にて代替した。この発表に対し、同遺跡群の位置づけが古代の国郡制成立の問題や古代官道の成立の問題を左右する重要な成果となる旨の反応を得ている。また、昨年度実施した水戸市二所神社古墳測量調査について、補測を行うとともに、埋葬施設の位置特定が時期判断の決め手になることから、レーダー探査を実施し、位置の把握を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
古代の歴史的景観復原を目的とした研究としては、地名調査の成果も良好であり、一地域との連携もあって、那賀郡家周辺の景観復原が予想以上に良好な結果を得られていると実感する。ただし、平成23年度に着手予定であった測量調査は、震災の影響から調整が延びており全体としては(2)に相当する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、調査結果をまとめて報告書を刊行する予定である。また、水戸市愛宕山古墳の測量調査を予定している。
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