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2011 年度 実績報告書

写真資料の分析を通してみた植民地朝鮮における考古学的調査の再検討

研究課題

研究課題/領域番号 22520764
研究機関京都大学

研究代表者

吉井 秀夫  京都大学, 文学研究科, 准教授 (90252410)

キーワード考古学 / 朝鮮史 / 写真
研究概要

本年度の具体的な研究の進行状況は以下の通りである。
まず朝鮮古蹟調査報告書掲載写真の集成および検討については、昨年度に引き続き、報告書の図版・挿図目次に記載された写真の内容および撮影者などの関するデータの入力作業を続け、基本的な作業をほぼ終えることができた。また、京都大学考古学研究室に所蔵されている慶州金冠塚関連資料(写真・図面・原稿など)の整理・検討を進め、当時の発掘から報告書にいたるまでの作業過程と、写真の果たした役割を明らかにすることができた。今年度から、東洋文庫の梅原考古資料所蔵の金冠塚関連資料の閲覧が可能になったので、それらの検討を開始し、関連資料のより総合的な理解を深めた。
また、徳島県立鳥居龍蔵記念館に、鳥居龍蔵が1917年に慶州月城・大邸達城・金海貝塚でおこなった発掘調査に関わる未公開の写真・図面類があることを知り、同館および韓国の研究者の協力をえながら、それらの学史的意味を明らかにする研究を開始した。本年度は、写真・図面類の実地調査をおこなった上で、調査がおこなわれた慶州・大邱・金海を訪問し、鳥居による調査地の現状を踏査した。その結果、これらの図面類は1917年の調査復命書に添付された図面の写しである可能性が高いことを明らかにした。これらの図面と、従来知られてきた関連報告・論文や、写真資料と総合することにより、鳥居による調査の概要が明らかにできるのみならず、その成果をもとに、朝鮮先史時代の変遷に関する鳥居の研究の歴史的意義を、従来とは違った形で評価できる、という見通しを立てることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成22・23年度の2年間の研究を通して、朝鮮古蹟調査報告書掲載写真の集成および検討については、基本的なデータの入力がほぼ終わり、具体的な分析をはじめるための準備がほぼ終了した。また京都大学所蔵の慶州金冠塚関連写真の整理成果はすでに韓国で刊行した。これまでの検討を通して、朝鮮総督府の調査に関わる写真の撮影者、ガラス乾板の保管・使用方法、紙焼き写真の利用法などについて、大まかな見通しを立てることができた。現地調査については、調査報告・観光用の写真集・絵葉書などの被写体となった主な遺跡の撮影方向の検討が予定通りに進んでいる。

今後の研究の推進方策

これまでの2年間の研究を通して、当初の目的を達成するための基本的な資料収集、および基礎的な検討をほぼ終えることができた。これからは、個々の写真についての具体的な整理検討を通じて、植民地朝鮮における古蹟関連写真のもつ意味を考察深めていく必要がある。今年度中に大まかな検討をおえ、最終年度には、それらの成果を論文・報告書としてまとめるていきたい。また、これまで実態が知られていなかった、鳥居龍蔵による古蹟調査に関連する写真・図面の検討を新たにはじめた。これまでの分析結果によれば、韓国に残された関連資料やこれまで知られてきた関連論文と総合することにより、鳥居龍蔵が朝鮮半島でおこなった調査研究について、新たな評価が可能になると思われる。今後、この課題についても研究を進め、最終年度までに成果をまとめていきたい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 京都大学考古学研究室所蔵金冠塚関連資料とその性格2012

    • 著者名/発表者名
      吉井秀夫
    • 雑誌名

      新羅古墳精密測量及び分布調査研究報告書

      ページ: 110-125

  • [学会発表] 鳥居龍蔵の朝鮮半島調査-鳥居龍蔵記念博物館所蔵資料の検討を中心に-2012

    • 著者名/発表者名
      吉井秀夫
    • 学会等名
      シンポジウム「鳥居龍蔵の足跡を考える-台湾・中国・朝鮮半島-」
    • 発表場所
      徳島県立鳥居龍蔵記念館
    • 年月日
      2012-03-04
  • [図書] 日帝強占期新羅古墳発掘調査関連資料集2011

    • 著者名/発表者名
      車順詰・吉井秀夫, 他編
    • 総ページ数
      270
    • 出版者
      国立慶州文化財研究所・慶州市

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公開日: 2013-06-26  

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