研究課題/領域番号 |
22520765
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
高田 健一 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (70403368)
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キーワード | 古墳時代 / 古墳 / 前方後円墳 / 前方後方墳 / 山陰地方 / 副葬品 / 普段寺古墳群 |
研究概要 |
本研究は、山陰地方における出現期の前方後円(方)墳の考古学的検討を通じて、弥生時代から古墳時代にかけての社会変化の実態を究明することを目的とする。具体的には、数10年以上前に出土遺物が知られているが、それらがまとまって報告されていないために古墳の性格や年代観の検討に支障があるものについて、再調査、遺物整理作業を実施する。また、すでに申請者が蓄積してきた調査資料、データを整理するとともに、今後の調査、研究に向けた情報整理、調査を行なう。平成23年度は、主として以下の(1)~(3)の作業を行なうとともに、研究に必要な図書や調査器具等の物品を購入した。 (1)平成23年8月~9月に実施した普段寺1号墳第9次発掘調査成果の資料整理と概要報告書作成を行なった(平成24年3月16日刊行、『普段寺古墳群IV-第9次調査概要報告書-』普段寺古墳群調査団、p.12)。埋葬施設内の調査を行なったが、盗掘によって完全に破壊されていることが判明した。しかしながら、盗掘坑内に納まる規模の埋葬施設であることから、木棺直葬の可能性が高いと判断した。墳丘の追加調査を行ない、墳丘規模の確定ができた。 (2)鳥取市・古郡家1号墳、同・六部山3号墳出土資料の再整理を行ない、報告書を作成した。刊行は平成24年度中に行なわれる予定。 (3)かつて古郡家1号墳の調査に携わった関係者から当時の状況を情報収集し、調査資料の再整理を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
普段寺古墳群の調査については、初期の目的である1号墳の墳丘形態・規模、埋葬施設の状態が把握できた。平成24年度にごく部分的な追加調査を行ない、過去6年間行なってきた調査成果の正式報告に向けて作業を進める。その他の古墳出土資料の再整理については、東京国立博物館所蔵品の再整理を今年度内に行なって資料刊行に備える予定である。
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今後の研究の推進方策 |
普段寺古墳群の調査については、合同調査を進めてきた島根大学考古学研究室と協議しながら、正式報告書の刊行に向けたデータ整理を行なっていく予定である。補足的な調査の必要が生じたため、8月に部分的な発掘調査をも実施する。 東京国立博物館所蔵資料の再整理については、協力者に実測の支援を依頼して進める。また、研究成果は地域の行政担当者と分かち合うため、研究会を開催して意見交換や情報共有を進める。その成果をも含みこんで報告書を刊行する予定である。
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