研究課題/領域番号 |
22520766
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
古瀬 清秀 広島大学, 文学研究科, 教授 (70136018)
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研究分担者 |
竹広 文明 広島大学, 文学研究科, 准教授 (60252904)
野島 永 広島大学, 文学研究科, 准教授 (80379908)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 東アジア / 古代鉄生産 / 鉄精錬 / 精錬実験 / 銑鉄 / 下し鉄 / 下げ技術 |
研究概要 |
東アジアの古代鉄を巡る課題の一つに精錬鍛冶がある。古代製鉄の研究は比較的深化しているが、産生鉄についての精製技術の検討は未熟で、特に精錬鍛冶については不明点が多い。これは、古代鉄生産では銑鉄と錬鉄の2種が産生され、それらの精錬が、前者では脱炭処理、後者では脱渣処理をさす、という複雑な生産環境に起因する。このため、考古学研究において混乱した状況を作り出している。本研究では、東アジアの精錬鍛冶について検討し、地域間の技術交流を通じた、鉄生産から鉄製品生産までの体系的な把握を目的とした。このための研究方法としてはまず、古代中国の銑鉄生産に伴う精錬の実態を把握し、次に朝鮮半島での在り方を検証する。さらに朝鮮半島から技術移転のあったわが国の精錬技術を検証する。いずれの地域においても、精錬関係の遺跡、遺構、遺物を考古学的に検討した。中国では銑鉄を脱炭する技術が完成し、それは反射炉を用いた熱処理であった。この技術は、朝鮮半島には伝播せず、そこでは早い段階から銑鉄生産が始まっているが、鉄鋳物としての製品化だけにとどまる。おそらく反射炉を使用しない鋼化が想定されるが、今回は明確化できなかった。わが国では平安時代頃から銑鉄生産が開始され、それに伴い、12世紀頃に板屋型精錬鍛冶炉が出現する。これは銑鉄塊を炉内酸化して鋼化させる方法で、後の下し(卸し)鉄(おろしがね)技術に通じる。17世紀後半になって、下げ(さげ)技術が確立する。これも炉内酸化の方法であるが、一度に30kgの銑鉄を処理できる。中国と異なる独自の技術が、朝鮮半島の状況が不明確であるが、わが国中世に確立したことが明らかとなった。本研究では鉱石、砂鉄を用い、古来の製鉄方法で得た錬鉄および現代の銑鉄の精錬実験を実施した。この成果として、貴重なデータを集成できた。なお、錬鉄は東アジアに共通して、鍛打による精製化を精錬鍛冶とする。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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