九州南部では当該地域独自の古墳時代墓制である地下式横穴墓・板石積石棺墓から良好な遺存状態の副葬鉄器が多量に出土しているが、従来、その資料自体の研究が十分に進んでいるとは言い難い状況にあった。そこで、本研究では研究目的に即した重要資料の実測図作成、写真撮影、X線写真撮影、顕微鏡観察など、基礎的調査を積み重ねた。 また、地域の側から資料に即した九州南部古墳時代社会の特質を明確にするために、他地域資料との比較によって生産流通・地域間交流・墓制の研究を統合的に進めた。その成果は論文、研究発表や研究報告書を刊行して明らかにした。地域の側からみた古墳時代社会の一端に迫り得たと考えている。
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