骨病変の中には、蛋白質から澱粉質中心の食事へと移行することによって、その出現頻度が高くなるものがある。このように食性と相関関係にある骨病変の一つとされてきた所見がクリブラ・オルビタリアである。本所見を観察した結果、縄文時代における集団同様、弥生時代における集団においても、遺跡の立地や宿主となる個体の様相によって骨病変として提示されるデータの出現頻度が異なることも明らかとなった。またクリブラ・オルビタリアの成因はいまだ再考すべき点が多く、食性以外の様相として形質学的特徴についての考察も加味した結果、本所見は高顔の個体に観察される傾向があることが示されている。
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