研究課題/領域番号 |
22520778
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
櫃本 誠一 大手前大学, 総合文化学部, 教授 (90340893)
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研究分担者 |
魚津 知克 大手前大学, 史学研究所, 主任 (70399129)
中井 淳史 大手前大学, 史学研究所, 研究員 (80411768)
梶原 義実 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (80335182)
古市 晃 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (00344375)
福井 亘 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 専任講師 (60399128)
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キーワード | 古代寺院 / 中世寺院 / 地域伝承 / 歴史的景観 / 終末期古墳 / 山岳寺院 / 法道仙人 / 播磨地域 |
研究概要 |
本研究は法道仙人による寺院開基という特定の地域にのこる伝承を手がかりに、とくに播磨における古代・中世寺院の造営背景を考古学・歴史学の両面から検討することを目的とする。より具体的には、加古川流域をフィールドとして、寺院のモニュメント的性格も考慮しながら終末期古墳から古代寺院、中世の山岳寺院という展開を明らかにするものである。したがって、研究は1.終末期古墳から古代寺院への推移と地域社会、2.開基伝承からみる中世寺院の展開、山岳信仰、3.地域伝承と歴史的景観の3つの方向からすすめることとして計画を立てた。 1. に関しては、終末期古墳の分布状況をおおまかながら把握することができた一方、古代寺院については研究分担者による立地の研究成果を得た。2.に関しては、法道仙人も含め、特別な開基伝承を持つ寺院について、近代の地誌類から洗い出し、播磨一国単位でその分布や宗派、概況といった基礎的データを整理することができた。また、法道仙人伝承については調査の結果、播磨のみならず山陰や九州にも及ぶことがわかり、比較対照の一環として、豊後国東半島一帯の寺院遺跡について踏査を実施することができた。法道仙人伝承を持つ寺院については、巨大な岩盤の上につくられている点で播磨(高砂地域)とよく似ており、伝承の展開を考える手がかりが得られた。また、豊後国東半島地域は仁聞という僧侶による開基伝承が局地的に分布していることがわかり、こうした伝説的人物による開基譚が一定のまとまりをもって全国各地に分布していることが予測された。これは派生的な問題ではあるが、法道仙人伝承の評価という点では貴重な視点になり得ると考えられ、今後も追究すべき課題である。3.については、GIS機器を利用した伝承地の踏査を実施した。未発見の伝承地の再確認も含め、伝承地の分布についても一定の知見を得ることができた。
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