研究課題/領域番号 |
22520782
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研究機関 | (財)元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
小村 眞理 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10261215)
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研究分担者 |
木沢 直子 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (50270773)
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キーワード | 組紐製作技法 / 正倉院組紐の源流 / 4畝平組紐 / 蓮山洞8号墳出土挂甲 / 高霊池山洞44号墳出土馬具 / 楽浪漢墓出土組紐 / Plain Oblique Twining / 平織り様トワイニング |
研究概要 |
本研究は東アジアにおけるループを用いる組紐製作技法の源流、伝播、発展について復元実験を通して検証することを目的とする。日本での技術の発生と展開を考えるうえで特に重要な地域である中国と韓国の古代の事例、および韓国の近世の事例について調査を行った。その結果、東アジア地域の技術史とその交流史を議論するうえで有意義な成果を得られた。 日本古来の組紐技法の源流と考えられるのは大陸、韓半島であるが、5世紀から6世紀の韓国の出土事例を2件実見したところ、同時期の日本の出土資料と共通する特徴をもつ組紐(4畝平組紐)を確認することができた。素材についても概ね同様の仕様であった。正倉院組紐の源流を考える上で貴重な資料であることが判った。調査対象は、1)慶星大學校博物館所蔵 蓮山洞8号墳出土挂甲(威糸) 2)慶北大學校博物館所蔵 高霊池山洞44号墳出土馬具(革帯の縫い糸と思われる)である。 中国の古代の資料としては東京大学考古学研究室所蔵の楽浪漢墓出土の冠の一部と認識される組紐など2件を観察した。Plain Oblique Twining(平織り様トワイニング)組織の資料の表面には漆が塗布されていると思われた。ほかに単色で組み糸の越え数を部分的に変えることで柄(文字ではないかと思われる)を浮き上がらせている組紐を確認した。戦国時代の江陵馬山一号墓や前漢馬王堆一号墓にみる2色ループを使用し柄を表す例とは異なる手法である。 また韓国国立伝統文化学校沈蓮玉教授の依頼で伝統服飾を専攻する学生を対象に講演と実技講習を行い(7月19日)、古来の組紐技法や材料についての研究成果を紹介する機会に恵まれた。韓国での今後の研究に関しても展開を期待したい。
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