伊達駅前地区は町内会活動が活発であり、遊休市有地を健康・福祉・防災・交流など複合的施設・空間として活用しようという動きは2003年から本格化した。4町内会連絡協議会などの地域組織が中心となり、市役所や介護施設等のNPO法人を巻き込んで、アンケート調査や現地調査、ワークショップなどを進め、シンポジウムを開催し、伊達市長への積極的な提案活動を行った。これらの活動は2008年の伊達市細谷地区市有地活用委員会による『伊達市細谷地区市有地活用提言書-市民協働で創る和らぎと安全な市有地活用-』に集約され、伊達市における市民協働の先導的なモデルとして注目される。 市民協働については、一方において「安上がり」のまちづくりとしての批判があるものの、土地・施設等の賃貸料を協働の取り組みを通じて固定資産税相当に抑えることが可能であること、それによって定年後の低所得者であっても安心して入居あるいは利用できる施設設置が実現できるという展望が出ている。そのためには、施設整備だけでなく施設維持管理においても市民協働が追究されなければならず、そこに福祉法人やNPO法人だけでなくやはり地域組織の積極的な関わりがなければならない。 市民協働をさらに進めていくうえで、地域組織の役割を重視するとともに、役割を果たすことができる地域組織の現状についても分析を加え、伊達駅前地区の総世帯の過半数は町内会に包括的に組織され交流しているだけでなく、目的的な地域組織によって世帯員が年齢別性別関心別に多様な形で組織され交流していることが明らかとなった。また高齢者等困難を抱えている人たちに対して地域の人たちが年齢・性によらず積極的にボランティア活動に関わろうとしていることが見えているのである。こうした地域における諸活動なくしては市民協働のまちづくりは困難であり、遊休市有地の活用を進めることは困難であったろう。
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