海外調査としては、世界地誌教材例として取り上げるスウェーデンにおいて教材開発のための情報・資料の収集・予備地域調査を行った。持続可能な社会の構築という観点からフィールドワークを行った。来年度の本調査を合わせ、教材開発を進める。 国内調査では、県内中学校における世界地理の扱いについて聞き取り調査などを行った。世界地誌が拡充される新学習指導要領の完全実施を前に、従来の国調べのうち一国を州に拡大して学習する例はあるが、範囲を拡大しただけで調べ学習のスタイルが踏襲され、新学習指導要領の趣旨に沿う形のものは少なく、教員間に世界地誌学習の意義が十分に理解されているとはいえず、早急な教材開発、単元開発が必要であることが明らかとなった。 そのほか世界地誌教材開発のため、諸外国の教科書、開発教育・ESD関連書籍等を収集し、その内容分析を行った。またスウェーデンで秋に示された新学習指導要領を入手し、その内容分析を行った。新学習指導要領は持続可能な発展をこれまで以上に強く意識するものとなった。地球、世界を学習対象とし、自然と人間との関わりによる生活環境の形成とその変化をとらえ、持続可能な発展を考慮しながら、さまざまな環境問題を解決し、また問題を未然に防ぐ対策を考えさせることを目的とする。とくに環境の持続可能性の問題として、自然災害、再生可能エネルギー、代替燃料などの問題、世界各地で発生している貧困・病気などの問題を重点的に取り扱っており、持続可能な社会の形成の観点にたつ先進事例といえる。この新学習指導要領の具体化は来年度以降となり、継続調査していくこととする。 なお日本社会科教育学会全国研究大会(平成22年11月14日:筑波大学)では、課題研究「地理学習で諸地域をどう扱うか-新しい地誌学習の内容と方法-」を池俊介(早稲田大学)とともにコーディネータとして企画・開催した。
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