1.2年間の調査研究をふまえ、アフリカやマレーシア、スウェーデンを事例に地誌学習の教材開発を行った。また小中学生を対象に地誌教材の読解調査を行い、その結果をもとに発達段階に応じた世界についての学習で取り上げる題材と視点について検討した。現行のカリキュラムでも、小学校から継続的に世界を扱うことが有効であり、①小学校中学年において日本と環境等が大きく異なる地域の人々の具体的な生活や動植物などについて、身近な地域や自分たちの生活と比較しながら取り上げること、②高学年においてはアジアやアフリカなどを中心に、可変的スケールで地域の文化と自然に着目してとりあげること、それらをふまえて③中学校においてはESDの観点から自然に加えて社会、経済的観点を加えた地誌学習を導入することが適当であるという結論を得た。 2.1の成果を大学院授業において委託生(現職派遣)らに示し、地誌カリキュラム、地誌教材としての有効性が確認できた。また茨城大学附属中学校、県内協力校で教員、大学院生の協力を得て実験授業等を行うとともに、附属小学校でESDの視点を取り入れた社会科授業開発を行った。 3.上記の研究成果の一部を福山市の中学校社会科教員研修会において報告するとともに、現職教員らと情報交換を行った。また教材開発の成果の一部は「『ニルスのふしぎな旅』はいかに生まれたか」(ビョルク118号、2013.4.1、スウェーデン交流センター)、英文叢書『日本の地理教育』(仮題)Current Situation and Prospect of Geography Education as Part of Social Studies Education in Japan(投稿中)にまとめた。
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