研究課題/領域番号 |
22520785
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
葉 せいい 茨城大学, 人文学部, 准教授 (30242332)
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キーワード | 植民地 / 台湾 / 地理教育 / アイデンティティ / ポストコロニアル |
研究概要 |
○概要:平成23年度の研究実施計画においては(1)日本における地理教育および植民地教育に関する資料収集・分析、(2)戦前発行の学術雑誌などに掲載されている「地理」や「植民地」に関する論文類の収集、(3)台湾の大学における地理教育に関する資料収集、が主な項目となっていた。 ○具体的内容:(1)に関しては、国立国会図書館や旧教育系大学に保管されている教科書や植民地における教育に関して言及している雑誌類や新聞記事などの収集を行なった。(2)に関しては、「台湾教育」や「台湾教育政策」など教育関係の雑誌における日本やアジア、世界に関する記述について注目し、関連の論文を収集した。(3)については、昨年平成22年度の繰越分で、平成23年9,月22~30日まで台湾で地図収集および調査を行なった際に実施し、国立台湾師範大学、台湾教育大学で資料収集を行なった。 ○意義および重要性:本年度の研究計画の主眼は、地理教育が植民地の人々の心象地理形成にいかなる役割を果たしたか、ということであった。そこで地理教育に関する教科書や地理系学術雑誌、教育雑誌などで地理の教育に関してどのような言説があったのかを調査した。「地理」はたとえば愛国心や国家意識形成に重要な役割を果たしていることが明確に謳われており、したがって植民地の人々の心象地理の形成あるいはアイデンティティ形成にも非常に重要な役割を果たしたことが推察される。実際には日本においても同様な教育が実施されていたことも資料から明らかとなっているが、植民地と本国ではその意味合いはことなることは指摘しておく必要があろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度の研究計画で収集する予定であった資料はおおむね問題なく入手することができた。その整理・分析についても順調に完了した。台湾の地方都市における地図・写真についての収集は実施できなかったが、今年度計画で実施できる目途はつけてあるので問題はない。現在のところ資料の収集とその整理と分析に関しておおむね予定どおりに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の進行状況は、おおむね当初の計画通り進行している。ここまで資料や文献についての収集は十分におおこなってきたが、地方都市に発掘されていない資料などがある可能性もあるため、本年度はその収集に努めたい。また、心象地理を地理教育などから考察するにあたって、実際に教育を受けた人々がどのような心象地理を抱いていたのかを明らかにすることは最も重要なポイントとなる。そこで本年は、日本植民地期に教育を受けた台湾の人々への聞き取り調査に重点を置いて調査を行なう予定である。
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