本研究では,小売業,飲食店および個人サービス業を生活基盤を支える施設として位置づけ,それを空間的公平性の観点から整備する政策を日本に提言するために,以下のことを目的とした。第1に,日本と比較するために生活基盤施設の計画に関する先進地であるイギリスの政策とその問題点を解明した。第2に,日本の生活基盤施設の立地政策を検討し,その問題点を指摘した。 本年度は,2013年9月にイギリスに行った。調査地は,シェフィールド市,ノッティンガム市,カーディフ市である。シェフィールド市に関しては,シティセンターの土地利用図を購入した。 ノッティンガム市の場合,中心市街地から2km圏内にあるインナーシティである。ハイソン・グリーン・ディストリクトセンターという周辺商業地を中心とする地域の土地利用を調査した。ハイソン・グリーン・ディストリクトセンター周辺はエスニックマイノリティが多い地域で,パキスタン人とバングラディシュ人が集中する。その地域における生活基盤施設の政策と実態の乖離を調査した。 カーディフ市では,インナーシティの旧工業地域が住宅,商業,スポーツ施設により再開発された一帯と,近隣商店街を調査した。さらに,カーディフ市役所で,近隣再生の政策に関する聞き取り調査を行った。 さらに,2012年11月と2013年3月には,今までの調査の総決算というべき研究発表を行った。
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