研究課題/領域番号 |
22520792
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
松本 博之 奈良女子大学, 名誉教授 (70116979)
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研究分担者 |
相馬 秀廣 奈良女子大学, 文学部, 教授 (90196999)
内田 忠賢 奈良女子大学, 人間文化研究科, 教授 (00213439)
吉田 容子 奈良女子大学, 文学部, 准教授 (70265198)
帯谷 博明 奈良女子大学, 文学部, 准教授 (70366946)
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キーワード | 地域景観 / 地域環境 / 紀伊半島 / グローバル化 / 保全 / 変容過程 |
研究概要 |
初年度は、A)熊野川(十津川)流域とその周辺、B)新宮~串本~田辺・白浜を中心とする紀伊半島南部沿岸地域、という2地域を調査地の中心として設定し、大都市圏から離れた遠隔地で、グローバル化の影響が環境や景観にどのような形で影響するのか、あるいはしないのかをi)地域社会とダム開発-世界的環境志向の潮流と脱ダム化の流れとの関連性、ii)獣害問題を含めた動植物の生態的変化や山岳環境の変化と景観・環境保全、iii)生業基盤の脆弱な狭小臨海平野における人間の営みと地域景観・地域環境の変容過程、iv)山村の民俗・文化と環境利用・環境保全の実態-とくに熊野古道の世界遺産化との関連、という諸点から明らかにすべく、まず、地形図や住宅地図などの基礎資料の収集や文献の収集を行った。これに加えて紀伊半島山間部では、過疎化と地域交通のあり方の現状と課題について、聞き取り調査をまじえた予察的な現地調査を行った。その結果、過疎の状況が、特に高齢者の日常生活行動に少なからぬ影響を及ぼしている実態が、具体的に明らかになってきた。また、和歌山・御坊市近郊のカナダ移民の母村(漁村)の実態調査や、和歌山県串本町におけるオーストラリア移民・出稼ぎの系譜にかかわる調査なども行い、近現代という時間スケールの中で様々な時期に、当該地域の住民が海外・世界との濃密な関係性を有していた実態が明らかになってきた。次年度は、初年度の成果をうける形で、現地調査による1次データの取得などを中心に、各検討課題の深化を目指す予定である。
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