研究概要 |
本研究は,香川県東かがわ市の手袋産業と愛媛県今治市のタオル産業を事例として,地方地場産業企業群のグローカル展開の質的変容の特徴を地理学的な視点から解明することを目的としている.平成23年度は,次のような研究を行った. まず,22年度の研究の中で行った,東かがわ地域の手袋関連企業に対するアンケート結果を分析,集約し,「東かがわ地域における手袋関連産業の現況(アンケート)調査報告」としてまとめた.同調査報告は,東かがわ市に事務局を置く日本手袋工業組合および会員企業の一部にも送付し,調査結果の地域還元に努めた.並行して,東かがわ地域の手袋関連産業の動向に関するこれまでの研究結果をまとめ,共著の形で外国の出版社(Palgrave)による単行本として公刊した.単行本のタイトルは,"Spaces of inter-national economy and management"である.この中のp.221からp.238を担当した. また,夏期には,愛媛県今治地域のタオル関連産業に関して現地調査を実施した.具体的には,今治市役所,四国タオル工業組合を訪ね,タオル関連産業の発展と現況に関して聞き取り調査を行うとともに資料を収集した.また,事例企業2社において,今治地域を中心とした国内の企業活動と海外展開について聞き取り調査を行った. 12月後半には,東かがわ地域の手袋産業について追加調査を行うとともに,中国上海大都市圏において,今治に本社をおく事例タオル企業の現地法人において聞き取り調査を行った.合わせて,ジェトロ上海事務所で長江デルタ地域を中心とした日本の中小企業の投資活動について聞き取りをした. これまでの研究結果に関しては,2011年6月の韓国ソウルでの国際経済地理学会大会,9月の大分での日本地理学会秋季大会,そして2012年2月のアメリカ・ニューヨークでのアメリカ地理学会大会において発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要の項に記したように,おおむね当初の研究計画に沿って,研究を遂行できていると判断する.具体的には,事例として取り上げている四国内の2つの地場産業に関して,地場における現地調査と海外展開先における現地調査,そして関連するデータ資料の収集,分析が実施できており,また国内外の学会において研究成果について報告できており,上記の区分が相応と考える.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は,研究期間3か年の最終年度であり,全体としては,一連の研究の総まとめを行いたい.具体的には,研究成果報告書をまとめるともに,研究結果を論文にまとめ,学会誌や紀要に投稿したい.また,部分的には,現地調査等不足している点について,補足調査を実施したい.さらに,研究成果について,内外の学会において発表したいと考える.
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