本研究は、国際比較実証研究により、映画・CG・アニメといった映像関連コンテンツ産業におけるクリエイティブプロセスを、企業とテンポラリー組織の戦略・ガバナンス・リーダーシップの相違という視点から分析し、さらに産業クラスターとテンポラリークラスターの果たす役割を検討することを目的とする。 上記目的を達成するため、当初はニュージーランドにおける調査を予定していたが、米国において長期滞在による調査の機会が得られたため、予定を変更して米国を中心に以下の3つの調査を実施した。第1に、企業とテンポラリー組織の両方のキーパーソンに対するヒアリング調査として、米国でリズム&ヒューズ社とピクソモンド社のキーパーソンへのヒアリングを実施した。またテンポラリー組織のキーパーソンとしては、日本ではVFXスーパーバイザーの松野美茂氏、映画プロデューサーの益田祐美子氏、米国ではVFXスーパーバイザーのKevin Tod Haug氏、映画監督のすずきじゅんいち氏、映画プロデューサーのこうもり氏を対象に実施した。第2に、コンテンツプロジェクトのキーパーソンに対してのコミュニケーション行動に関する半リアルタイム定期調査法による調査を東京の松野美茂氏、米国のKevin Tod Haug氏を対象に行った。第3に、デジタルコンテンツ産業の重要なテンポラリークラスターとしてSIGGRAPHを取り上げ、2012年LA開催のコンベンションに参加し、論文セッションでの研究報告に関する情報、「スケッチ」セッション等での映画での応用事例情報、展示会ブースでのCGのソフトウェア商品化の情報を収集した。アジア版のSIGGRAPH ASIAも2012年11月~12月シンガポール開催のコンベンションに参加して同様の調査を実施した。他にも、米国で各種の映画産業関連イベントに参加して情報収集を行い、ネットワーキングを行うことができた。
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