研究課題/領域番号 |
22520797
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
藤塚 吉浩 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 教授 (70274347)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ジェントリフィケーション / 都市再生 / 21世紀 / 新築のジェントリフィケーション / 立ち退き |
研究概要 |
平成24年度は、ロンドンのテムズ川沿岸における新築のジェントリフィケーションについて、研究成果をまとめた。ロンドン中心部、特に西側ではホワイトカラーが大きく増加し、テムズ川沿いの地域において、世帯総所得の増加が著しい。テムズ川沿岸の低未利用地では、中高層の共同住宅が建設され、裕福な居住者の来住がみられ、地区の居住者階層の上方変動が起こった。新築の共同住宅が供給される一方で、周辺の住宅価格が上昇し、低所得者が不動産の取得や住宅の利用が困難となる間接的な立ち退きが起こったと考えられる。中高層の共同住宅は低層住宅地に隣接しており、町並み景観の破壊が問題点として指摘される。 平成24年度はまた、ニューヨーク市ブルックリン北部におけるジェントリフィケーションについて現地調査を行った。工場や倉庫跡などの低未利用地の再活用のために、ゾーニングの変更が行われた。工場や倉庫の建物の再利用だけでなく、中高層の共同住宅が建設され、従来の居住者のエスニシティとは異なる来住者が増加した。落書きや自転車の違法駐輪など、新たな問題点が明らかになった。これらの地域は、地下鉄駅もありマンハッタン島への通勤にも便利がよいため、ホワイトカラーの来住が多くなり、中小工場の集中していた地域にも、カフェやレストランなどの店舗が増加するなど、ジェントリフィケーションが進行することとなった。イースト川沿いの近隣においては、以前にジェントリフィケーションが進んだところに、より裕福なジェントリファイアーが来住する、スーパージェントリフィケーションが起こっている。 平成24年度には、大阪市の準備調査も行った。大阪市中央区、北区、西区、福島区では、超高層住宅が建設され、人口増加に大きな影響を与えていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東京、ロンドン、ニューヨーク市の現地調査を実施し、東京とロンドンについては研究成果をまとめた。大阪市の調査も進んでいるため、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度には統計資料の分析を行い、大阪市の現地調査を行うとともに、ニューヨーク市と大阪市の研究成果をとりまとめる。また、4都市の研究成果の比較を行い、ジェントリフィケーション発現の都市再生に与える影響を考察するとともに、研究成果に基づく提言について検討する。
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