本研究では、2000年代のロンドン、ニューヨーク、東京、大阪を対象に、都市再生の動向について比較検討した。小地域統計により再生地区について調べると、CBDとの近接性、低未利用地の存在が重要な要因であるとともに、低未利用地を活用させようとする都市再生政策が強く影響した。再生の形態については、伝統的な住宅の修復利用のほかに、歴史的建築物のコンバージョンや、新築のジェントリフィケーション、ゲーテッド・コミュニティなどがみられた。地区の再生に伴う社会的影響としては、不動産価格の上昇、賃貸料の高騰、ゲーテッド・コミュニティによる社会的排除と、伝統的な都市景観に調和しない新築の高層共同住宅が問題であった。
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