研究概要 |
本研究の目的は,産業支援機関の活動を担うクリエイティブな人材の育成プロセスと,その人材を定着させていくための地域的な社会・経済的環境条件を明らかにし,地域政策としての地域産業政策を有効に機能させるための課題とその解決策を提示することである. この目的解明のために平成23年度は,第1の理論的研究では,産業支援機関における人材育成をめぐる欧米の研究をフォローし,その成果と課題を展望するとともに,従来における産業空間や企業間ネットワークといったテーマとの関連についても,東京における2回の研究会において検討した. 第2の実証的研究では,1)ネットワーク形成におけるコーディネータの役割に着目したアンケート調査と,2)調査対象地域に関する実証研究の2つを課題とした.しかし,前者に関しては,東日本大震災影響によってアンケート調査の実施にまで漕ぎ着けることができなかった.平成24年度の課題とする. 後者の調査対象地域に関しては,山形県米沢市,青森県八戸市の2地域において,それぞれ3泊4日相当の時間を費やして,これまでの調査を継続することに加えて,クリエイティブな人材の育成・地域定着に関する調査を実施した.福島県福島市と会津若松市,仙台市およびその周辺については,東日本大震災の影響によって,今後の調査を断念せざるを得なかった.調査対象地域では,クリエイティブな人材に関わる産業支援機関(行政機関,教育・研究機関など),地元業界団体を中心とする調査に加えて,育成された人材の側から当該機関による育成に対する評価に関する調査も実施することにより,各地の人材育成・定着を育成する側と育成される側の両面から把握することができた.平成24年度は,23年度に実施できなかった岩手県花巻・北上両市における同様の調査と,山形県米沢市,青森県八戸市の補足調査の実施する予定である. 平成24年度には,さらに第3の課題である実証研究のとりまとめと総括を年度後半に実施する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた研究対象地域のうち,福島県福島市,同会津若松市,ならびに宮城県仙台市およびその周辺自治体が東日本大震災,およびそれに伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故によって大きく影響を受けた.そのため,平成23年度の前半,今後の調査研究が継続できるかの調整に時間が取られた.結果的には,上記の3地域の調査継続を断念せざるを得ない状況に追い込まれた。残された対象地域に関しても,平成23年度の後半のみを使っての調査となり,その分,予定していたアンケート調査を実施できなかった上に,現地調査についても遅れているというのが実情である.
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り,当初予定していた研究対象地域のうち,福島県福島市,同会津若松市,ならびに宮城県仙台市およびその周辺自治体の調査を断念せざるを得ない.そのため,残る山形県米沢市,岩手県花巻・北上両市,青森県八戸市に絞って調査研究を継続することとした.
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