研究課題/領域番号 |
22520805
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
中川 秀一 明治大学, 商学部, 教授 (00298415)
|
研究分担者 |
安食 和宏 三重大学, 人文学部, 教授 (00231910)
川久保 篤志 島根大学, 法文学部, 准教授 (50314612)
|
キーワード | 地域存続力 / 山村地域 / 岐阜県山村 / 四国山地 / 内部組織 / 外部チャネル / 規模縮小社会 / ネオ内発的発展論 |
研究概要 |
今年度は震災の影響もあり、全体的に予定よりやや遅れて調査研究が進行した。 共同での現地視察調査は、8月に岐阜県、10月に四国山地で実施した昨年度に視察した中国山地、紀伊山地の事例に比して、大きな違いを実感した。ひとつは岐阜県の山村の活力が高いと実感させられた点である。名古屋大都市圏に近接しているという立地条件が、ひとつの要素と感じられるが、高齢化率などの指標が同程度でいわゆる限界集落状況にあっても、各種の事業に取り組む草の根の強い活動が観察された。他方四国山地では、馬路村や上勝町という、近年の村おこし事業のモデルともいえる地域を視察した。地域の努力に根ざしたものとはいえ、偶発的な要素も小さくないことから、これらが地域振興策の成功モデルとして捉えられていることに対する危惧も感じられた。他方、大歩危小歩危地域では奥地山村まで整備が進行しており、大型バスで海外(中国)からの団体観光客が賑わいを生み出していた。こうした周辺的な観光地が国際的な展開をみせている点は、今後もっと注目すべきである。 こうした活動を踏まえた成果について、今年度はわずかではあるが、次のように報告を開始している。日本地理学会大会(首都大学東京/3月/川久保・中川、安食)で共同での研究の成果を報告した。「地域存続力」概念についての質問に対し十分に対応できず、まだ共通の認識が得られるに至っていない点が課題として浮かび上がった。また、関連して、人文地理学会大会(立教大学/11月/中川)も行った。 こうした成果は、今後、論文として発表していく予定であるが、現段階では、川久保が島根地理学会に論文を投稿しているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査については、当初の研究計画にしたがって進行しており、全国学会で経過報告も行った。その一部は地方の学会誌ではあるが、事例論文の発表に至ってもいる。共同での現地視察を踏まえた議論も活発に行ってきており、各自の論点も次第に明確になりつつある。3.11の震災は、本研究にも少なからぬ影響を与えている。ひとつは、調査被害をさけるための東北地方での調査の遅延である。しかし、他方で、本震災は、本研究の意義をより明確にした側面もあると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
事例調査に基づく実証的研究について、さらに検討を深めて共同研究者個別に研究成果を挙げたい。また、議論を進めながら共通の視座を強化することが必要であり、事例調査とそこでの討議を踏まえ、理論的な進展の成果についても報告したい。 成果の発表として、今年度は、公開研究会の開催、論文の発表を予定している。公開による研究会としては、経済地理学会関東支部例会あるいは明治大学農山村政策研究所の公開研究会などを想定している。また、論文発表としては、紀要、地方学会誌への論文投稿と掲載をそれぞれが行うこととする。これらは次年度の全国誌への投稿に向けた準備と位置づけている。
|