本研究の目的は、地方都市の中心市街地における大型店撤退跡地の利活用に関して、その類型化を図るとともに、跡地活用に対する課題を整理することにある。2012年度は、2011年度に実施した全国849市町に対する大型店撤退跡地の利活用に関するアンケート調査結果(有効回答数629)を精査するとともに、跡地の利活用に関して典型的と考えられる7都市についてヒアリング調査を実施した。 ヒアリング対象都市は、秋田市(総合スーパー業態からショッピングビルへの転換)、酒田市(市主導によるスーパー跡地買収と複合開発)、浜松市(百貨店跡地のスポーツ施設への一次利用)、佐賀市(市主導による、破綻した三セクビルの買収と公的施設を中心とする再開)、諫早市(撤退した総合スーパー跡地のダウンサイジング型再生)、延岡市(閉店した百貨店跡地の再開発に対する行政の支援)、鹿児島市(撤退百貨店後施設の同一業態による再開)である。 2011年度のアンケート調査の結果、中心市街地の集客に大きな効果を持つ百貨店・総合スーパーが撤退した場合、同一の集客力を持つ業態での跡地利用が実現した事例は全国で10%に満たない。こうした状況下において、本年度実施した7都市の事例研究は、1)跡地の地権者間での早急な合意形成、2)中心市街地全体での協力体制、3)市、商工会議所を含む公的セクタのバックアップと利害調整、4)相応の予算措置が、跡地の有効利用に不可欠であることを示している。また、地方都市間あるいは中心市街地と郊外部での消費の争奪が進む中で、過大な店舗施設を一旦スクラップし、固定費負担の少ない小型の新施設に再生するダウンサイジング型再開発の有効性が検証された。
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