研究課題/領域番号 |
22520809
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
SCHLUNZE R.D 立命館大学, 経営学部, 教授 (70319599)
|
キーワード | ハイブリッドマネジャー / 異文化経営 / グローバル化 / 立地戦略 / 現地適応 |
研究概要 |
在ドイツ日本人マネジャー現地適応、立地選好、ネットワーキング行動を調査することによって、彼らの職場におけるシナジー創出の特徴を明らかにする。 昨年度のアンケート調査およびインタビュー調査に引き続き、23年度も現地調査として在ドイツ日本人マネジャーに対するインタビュー調査を行った。 本研究のアプローチとして、一般の海外派遣マネジャーと、異文化適応度が高いハイブリッドマネジャーの2つのタイプに分類する。ハイブリッドマネジャーとして分類するため、1)職場でのコミュニケーションにドイツ語を使用する、2)ドイツ滞在期間が6年以上、の2つを重要なクライテリアとした。 一般の海外派遣マネジャーはデュッセルドフルのエンクレーブで生活、勤務することを好むことが予測された。帰無仮説として、海外派遣マネジャーとハイブリッドマネジャーで違いはないとした。 もう一つ、グローバル化のポジティブな影響を受けている立地では、比較的容易にシナジーが創出できる、という仮説も立てた。 分析の結果、デュッセルドルフ以外にも多くの海外派遣マネジャーがいたため、帰無仮説は棄却されなかった。意思決定過程への関与およびシナジー創出も文化的経験ともドイツ語能力とも相関関係がなかった。このことから、グローバルビジネス環境があれば国際マネジャーはドイツでの特別な文化的経験がなくても成功できると考えられる。そのため、ハイブリッドマネジャーだけでなく多くの日本人派遣マネジャーが、シナジー創出できていると述べている。 企業環境、市場環境、生活環境の選好では相違がみられた。海外派遣マネジャーは新たな市場機会を求めてグローバル化の志向があるのに対し、ハイブリッドマネジャーは職場での調和を求め、現地ネットワークを重視している。日本人マネジャーは職場において現地のビジネス文化を学び、交流する努力をしている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
在ドイツ日本人マネジャーに対する調査は順調に進んでいる。しかし、23年度に計画していたドイツに子会社を持つ日本親会社に対する異文化トレーニングに関する調査は、本社に直接アンケートを送付したところ回答が少なかったので、ドイツでインタビューした日本人マネジャーから本社へ転送してもらうという形に方法を変更した。これにより回答を収集することができたが、インタビューが24年度にずれ込んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
企業のケーススタディーもできるよう、日本親会社の国際人事担当者とのインタビュー調査を行う計画である。ドイツで行った日本人マネジャーに対する調査については、分析結果の客観性をより高めるために、現地でパネル調査を実施する計画である。具体的には、海外派遣マネジャーとハイブリッドマネジャーを各4人ずつ集め、私の調査結果を表した上で、参加者各々は現地化と現地ネットワークを重視するハイブリッドタイプであるか、グローバル化とグローバルネットワークを重視する海外派遣タイプであるか、議論してもらう。 ここまでの研究結果はEAMSAおよび異文化経営学会等で報告したい。
|