本研究は1930年代前半、すなわち昭和10年代にさしかかる時期における生活習俗のあり方を記した農山漁村経済更生計画書の記述を考察するものである。1937年日中戦争や1938年国家総動員法施行など戦時体制にさしかかる直前の農村における生活習俗のあり方とその意味の考察を行った。農山漁村経済更生運動における「農民精神の作興」というスローガンのもと、この当時の生活習俗がどのような行政側からの改善指導がされていったかについて明らかにし、国家と民俗の関わりを戦時体制が確立する直前の動きについて、茨城県、長野県を事例に検討を行った。
|