研究課題/領域番号 |
22520816
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
西井 凉子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20262214)
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キーワード | 共同性 / 社会運動 / タイ / 記憶 / 民主化運動 |
研究概要 |
本研究の目的は、人間が他者とともに日常生活を送る社会的動物であるということを、その共同性の根源をめぐって、「共同性」の極限ともいえる、沸騰した社会運動の記憶の現在における語りを通じて、社会性の根源の「共同性」をタイにおけるフィールドワークを通じて探求することである。 1今年度は、北タイの「森に入った」経験者のライフヒストリーを含めたインタビュー調査を行い、その経験の語りを収録した。また、語りの状況をビデオにとり、記憶語りについての分析のための資料を収集した。 2かつての共産主義運動の中心拠点の一つであったチェンマイからラオス国境にむけて車で約6時間のパヤオ県のサンティスック村にて、モン族の元共産党員のインタビューを行った。 これらのデータから、本年度は特に、理論的目的について、共同性の経験にとっての情動のもつ意味について、具体的な経験の語りから考察をすすめることができた。また、昨年度の南タイにおける森に入った経験と、今年度の北タイにおける経験を比較することで、「森に入った」経験の記憶の地域ごとの経験の差異性についてのデータを得ることができた。 現在、タイ社会においては分断された政治的状況が報道されているが、そこでは1970年代の民主化世代の動向が大きく関わっている。かつての民主化とその後の「森に入った」経験が、彼らの現在性について持つ意味についての考察を、タイの現状の動向も注視しつつ進めつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査地においては、すでに昨年度調査を行った「森に入った」経験者からの紹介で、さらなる経験者へとすでにあるネットワークを活用することができた。
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今後の研究の推進方策 |
調査は、初年度が南タイ、今年度が北タイと地域を変えてすすめてきた。多くは8月に調査を行ってきたが、地域によっては雨季のため移動が困難となるため、そうした地域に入る場合には、雨季をさけて調査を行う必要があろう。
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