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2013 年度 実績報告書

タイ社会における「共同性」の人類学的研究-社会運動経験の記憶の生成を通じて-

研究課題

研究課題/領域番号 22520816
研究機関東京外国語大学

研究代表者

西井 凉子  東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20262214)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2014-03-31
キーワード共同性 / 記憶 / タイ / 社会運動 / 森に入る
研究概要

本研究の目的は、人間が他者とともに日常生活を送る社会的動物であるということを、その共同性の根源をめぐって、「共同性」の極限ともいえる、沸騰した社会運動の記憶の現在における語りを通じて、社会性の根源の「共同性」をタイにおけるフィールドワークを通じて探求することであった。
記憶は現在性と深く結びついている。現在の認知科学は主体がこの世界で生きているということは、世界と自らの折り合いをつけることであるということをあきらかにしつつある。本研究では、「森に入る」記憶を、その語れる現在の個々のライフヒストリーと現在におけるタイ社会に位置づけて探求を試みた。それにより、1976年の「10月6日事件」というクロノロジカルな歴史の一点についての語りとしてではなく、現在性における記憶の生成から、人間の共同性にアプローチすることができる。
1990年代後半、かつての「森の同志」たちが、それぞれの家庭や社会での役割に一段落ついたころから、森の拠点に記念碑を建て亡くなった同志を追悼する行事が行われ始めた。当初は、政治的な主義や主張において対立が表面化することもなく、記念事業は記憶を掘り起し、共同性を再確認するプロセスが見られた。しかし、2000年代に入り、保守中道的な路線の黄シャツ派と革新的でありながらタクシンという個性の強い政治家を支持する赤シャツ派の二派に分かれた政治闘争によってタイ全土が分断される政治状況となった。そのため、かつての同志によるユートピア的な「共同性」は後退し、それぞれの現在の政治経済的、社会的状況による亀裂が表面化してきたといえる。そうした中で記憶は再編成され、「共同性」の複雑な様相が明らかとなる。「共同性」とは常に現在進行形
の状況的産物なのである。

現在までの達成度 (区分)
理由

25年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

25年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] The Legacy of Hitoshi Imamura: The Macro lies in the Micro2013

    • 著者名/発表者名
      Ryoko Nishii
    • 雑誌名

      Kyoto University Press and Trans Pacific Press

      巻: 1 ページ: 339-345

  • [学会発表] Muslim Community in Maesot- Transformation of Da'wa movement2014

    • 著者名/発表者名
      Nishii, Ryoko
    • 学会等名
      International workshop on Community Movements in Mainland South East Asia
    • 発表場所
      Chiang Mai University
    • 年月日
      20140307-08
  • [学会発表] 『家と人』と村―生のプロセスについての人類学的考察

    • 著者名/発表者名
      西井 凉子
    • 学会等名
      「思考様式および実践としての現代科学とローカルな諸社会との接合の在り方」東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同究課題
    • 発表場所
      東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
  • [学会発表] 自己の中の他者

    • 著者名/発表者名
      西井 凉子
    • 学会等名
      「人類社会の進化史的基盤研究(3)」東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究課題
    • 発表場所
      東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
  • [図書] 情動のエスノグラフィ-南タイの村で感じる*つながる*生きる2013

    • 著者名/発表者名
      西井 凉子
    • 総ページ数
      286
    • 出版者
      京都大学学術出版会

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公開日: 2015-05-28  

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