[研究の目的] 本研究は,申請者が1980年代から継続的に調査を行ってきた米国の2地域において,1990年代後半から2000年代に顕著に見られる高齢者用住環境の多様化に着目し,住環境選択を中心とした高齢者世代のライフデザインの変化を,当該地域の福祉政策や,地域社会の文化的・社会的変化の文脈の中で明らかにし,さらに,日本の状況との比較によってアメリカ文化・社会の特性を明らかにすることを目的とする。 [平成25年度の調査] 本年度は、本助成事業の最終年度にあたるので、これまで蓄積された高齢者の退職後の住環境選択と以前の調査後の地域生活ならびに高齢者福祉サービスの変化を中心にまとめと分析を行った。その過程で、不足しているデーターを補うために、ウィスコンシン州スティーブンス・ポイント市において調査を行った。(1)比較的最近建設された、生涯型介護施設を調査した。(2)平成23年度に行ったカリフォルニア州サンフランシスコ近郊の同様の施設との比較分析を行った。(3)高齢者センターのディレクターが変わったので、方針の継続性について聞き取り調査を行った。(4)福祉施設,教育機関等で,地域社会の変化について,聞き取り調査ならびに資料収集を行った。 調査結果について,連携研究者 (a)佐野(敏行)[奈良女子大学(役割分担:調査地域の変化に関する考察)]と,同地域で共同調査をした経験から,地域社会の変化と解釈について、(b) 鈴木七美[国立民族学博物館(役割分担:ライフデザインに関する考察)]とライフデザインの解釈について考察・検討を行った。 [成果]研究成果の一部を、マンチェスター大学で開催された2013年度国際人類学民族科学連合(IUAES)で発表した。英文の論文も出版した。
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