本研究は、沖縄県久米島の地方役人階層で、18世紀中頃から100年ごとに作成されてきた家譜、父母記、家系の備忘録、位牌記録、年回忌記録、骨瓶記録など、未公開の家系資料群の整理・検討・目録化を行い、久米島地方役人階層の系譜観、一族意識の変遷を明らかにする事を目的とする。本年度はこれまで、研究代表者が収集した資料、また沖縄、東京の研究機関に保管されている家系資料群の整理、目録化を行い、特に18世紀と20世紀に成立したと考えられる資料の分析、検討に着手するとともに、新たな資料の収集に努めた。 このうち、新資料の収集で、とりわけ、18世紀成立と思われる未報告の家譜資料が7点(写本を含め10点)発見された。また既報告の家譜資料の写本等も3点確認された。 本年度は、上記の入手済みの家譜資料と新収集資料の整理と目録化に着手した。資料数は18世紀成立と推定される家譜が21点、19世紀成立と推定される家系資料が21点(写本含め28点)、20世紀成立の家系資料のうち家譜資料が26点、系図が21点、メモ資料が60点(92枚)をであった。また、今回調査では位牌調査記録、骨瓶銘書の収集も始めている。その他、確認のみの資料が数点あり、23年度中に収集の予定である。 これら収集資料のうち、18世紀家譜資料については、翻刻を始めているが、新収資料点数が多いため22年度内には終了出来なかった。内容の検討とともに、次年度に継続したいと考えている。なお、法政大学等で収集された久米島家譜の印影やコピー等史料の所在確認作業、所蔵史料の内容確認を行った。
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