本研究は沖縄県久米島の地方役人階層で、18世紀中頃から100 年ごとに作成されてきた家譜、父母記、家系の備忘録、位牌記録、年回忌記録、骨瓶記録など、未公開の家系資料群の整理・検討・目録化を行い、久米島地方役人階層の系譜観、一族意識の変遷を明らかにする事を目的としている。 25年度収集家系資料は、これ迄コピー収集であった18世紀成立の父母記の原本確認が1点あった。これ以外に明治期の雑資料類(村税払い込み証書、役場書記業務備忘録など)、大正、昭和期の郷土誌資料類、模合記録、昭和初期の新聞、雑誌、久米島紬関係刊行物などが収集された。本研究と直接関係しないが、家譜等家系資料収集の際の関連収集物として、原本、もしくはそのコピー、写真が久米島博物館に保管された。 収集資料は18-19世紀成立の資料類54点(デジタル写真27点・734枚、PDF27点833頁<枚>)、20世紀の資料75点(家譜25点・PDF1273頁<枚>、資料ノート50点・PDF106枚)にまとめて久米島博物館に寄贈した。但し、資料の公開については博物館の規定に従うこととなった。なお、プライバシーを考慮して位牌写真資料に関しては写真の寄贈を見送った。 本年は、本研究の最終年度であり、調査報告会を平成25年9月7日に久米島博物館で博物館共催で開催し、18世紀成立の家譜資料類の目録と原本の対応照合および、18~19世紀成立の家系資料類と位牌祭祀の現状との比較を通して家系意識の変遷などについての報告を行った。またこれ以外に久米島関係者集会で計4回(パネル発表1回含む)開催した。地元での報告会の目的は、地域に残されてきた資料の重要性について広く報告すると同時に、現在も残されている資料の公開をアピールする事にあった。上記の関連資料類の収集はそうした報告会の”成果”の一つではあったが、新家系資料等の発見には至らなかった。
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