研究課題/領域番号 |
22520829
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研究機関 | 高千穂大学 |
研究代表者 |
田中 正隆 高千穂大学, 人間科学部, 准教授 (30398549)
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キーワード | メディア / 人類学 / ベナン共和国 / ラジオ / ジャーナリスト / ライフヒストリー / リテラシー / デモクラシー |
研究概要 |
本研究は政治変革期にある西アフリカでの人類学的調査をもとに、新たな情報メディア環境のなかで、人々のリテラシー(運用能力)がどのように機能し、世論形成や投票行動などの社会・政治的文脈に結びつくのかを実証的に明らかにすることを目的としている。具体的には、メディア機関の機能、人々の生活史(ライフヒストリー)、地域コミュニティの関与という3つの視角を設定し、情報環境の変化がどのように人々の対話を生み出し、政治的貢献を果たすのかを明らかにする。 23年度はベナン側から、隣接するトーゴ都市部のメディア機関へと対象を広げ、その概要を把握することを目標とした。人々の日常生活に浸透するラジオ調査に重点をおいた。ロメ市内を中心に5局、10名ほどのジャーナリストとメディア関係者にインタヴューを行った。次年度の本調査にむけた人脈づくりを中心に行った。ラジオの担い手の経歴や生活史に焦点をあわせることで、対象国のメディア史を社会の内側から理解しようとした。 また、オーディエンス調査については、視聴者参加型番組に頻繁に参加をする視聴者や視聴者集団とコンタクトをとることができた。今後、性別、年齢、民族集団、宗教、学歴、職種に留意し、バランスをとった調査を実施してゆく.今後、収集したデータを整理し、分析するなかで事例研究の手法を改善していく所存である。 こうした研究・調査の一部を論文として、機関紙に投稿し、査読審査を通過した。今年度6月に刊行される。今後はこれに対しての一般の反応を研究方向にとりいれてゆく。こうした情報発信により、わが国のメディアとデモクラシーの人類学という領域を切り拓く意義は大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的である、政治変革期にあるベナン、トーゴのメディア機関への調査は順調に進んでいる。ジャーナリストへの聞き取りにより、彼らのライフヒストリーから家族、地域社会とメディアのつながりを示唆する談話も入手できた。当初、困難が予想された視聴者への調査は、視聴者参加番組に着目することが突破口となる可能性を持っている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画どおり、ベナン南部を中心とし、隣接トーゴ国での状況との比較研究を試みる。
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