研究課題/領域番号 |
22520830
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
佐藤 斉華 帝京大学, 文学部, 准教授 (10349300)
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研究分担者 |
幅埼 麻紀子 山形大学, 男女共同参画室, 助教 (00401430)
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キーワード | ネパール / ジェンダー / 階層 / 労働 / 女性 |
研究概要 |
本年度の研究は、ネパール(カトマンズ盆地)における現地調査を中心として遂行した。佐藤は2011年8月~12年3月にかけて、幅埼は2011年12月~12年1月にかけて現地に滞在し、都市に居住する女性たちの仕事と生活についての半構造化インタビューを中心とする調査を実施した。 インタビュー対象者は、当初の計画通り、労働者階級女性と中間層女性という2つの大カテゴリーから構成した。労働者階級としては、当初建築労働者と家事労働者のインタビューをすることを想定していたが、家事労働者女性には既にある程度の資料蓄積があることに鑑み、これにかえて露天商女性を調査対象に組み入れた。中間層女性としては、それなりの学歴が必要となる仕事につくキャリア女性と家事に専従する「主婦」を調査対象とした。何度かの試行をへて調査票を完成させた後、11月から3月にかけて行った活動のなかで、アシスタントに委嘱したものも含め250名ほどのインタビュー資料を蓄積することができた。 資料の分析に本格的に着手するのは来年度となるが、予備的分析によれば、中間層女性より労働者階級女性のほうが仕事に対する満足度は高いという傾向が認められた。このような傾向がいかにして現れることになるのかを明らかにすることも含め、ネパール都市社会に生きる女性たちの仕事と生活を多角的に記述・分析・説明するための資料を、今年度の活動によって整えられたといえる。なおその記述・分析等の作業においては、インタビュー資料収集と並行して行った、すぐれてフィールドワーク的な資料収集、すなわち参与観察による資料も存分に活用することになるであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究は、ネパールにおける現地調査の遂行を主に行うものとして計画されており、実際に、佐藤は当初計画通りに長期滞在を行ってこれに従事することができた。幅埼は通常業務遂行との調整の困難により、当初の計画よりも短期の調査とせざるをえなかったが、それなりに実りのある情報収集を行うことができた。これにより、来年度には、調査成果のとりまとめ作業に入ることができる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
今後(来年度)は、23年度に収集した資料を整理・分析し、ネパール都市社会に生きる女性たちの仕事と生活の実態及びそれに関する彼女たちの意識・認識を描き出していくことが課題となる。その成果の一部については、今年度内にも、学会発表等によって公けにすることになろう。また、補足的な情報収集が必要になった場合は、適宜これも行っていくものとする。
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