研究課題/領域番号 |
22520833
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研究機関 | 相模女子大学 |
研究代表者 |
浮ヶ谷 幸代 相模女子大学, 人間社会学部, 教授 (40550835)
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キーワード | 高齢社会 / 老い / 看取り / 苦悩(サファリング) / ケア / 在宅医療 / 多職種連携 / 終活(ライフデザイン) |
研究概要 |
2011年度は、本研究の目的「高齢社会における老いと看取りをめぐる苦悩とケア」の構築について明らかにするために、(A)北海道浦河赤十字病院(浦河日赤)訪問看護ステーションの訪問看護活動、そして(B)長野県松本市ライフデザインセンター(LDC)と曹洞宗東昌寺飯島恵道氏の活動についてフィールドワークを行った。(A)については、8/17から8/25まで浦河日赤の訪問看護ステーションの朝ミーティングに参加、そして午前、午後と訪問看護師に同行、一日平均4軒、合計28軒の患者の自宅に訪問し、在宅での看護の在り方について調査した。同期間内で訪問看護師2人にインタビューを行った。在宅医療を支えるには、訪問看護だけではなく、医師やソーシャルワーカー、ヘルパー、そして特に精神の病いをもちながら地域で生きるためには、精神障害の当事者のコミュニティ〈浦河べてるの家〉との連携が不可欠であることが確認できた。 (B)については、5月28日東昌寺にて、前住職の看取りと死について飯島氏自身のグリーフケアの体験とそれに対する思いについて話を聞き取った。また、LDC主催の「いのちの輝きに寄り添って」(6/15)に参加し、東日本大震災をめぐる原発の問題とLDCのこれまでの活動を振り返り、今後の活動内容や役割について話を聞いた。LDCの勉強会「在宅緩和ケアについて」(7/16)に参加し、在宅で死を迎えることに関して本人の思いや家族の経験、在宅医療を支える専門家の側の話を聞き取った。また、本研究と連動する国立民族学博物館共同研究「サファリングとケアの人類学的研究」では、当初の予定通り研究会を5回開催し、8月には研究成果の中間報告書を刊行することができた。医師や看護師、ソーシャルワーカー、成年後見人など、制度的専門家が抱える苦悩の意味が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的を達成するために、当初の調査計画である北海道浦河町調査と長野県松本市調査を概ね実施できたからである。また、その成果の一環として、国立民族学博物館共同研究の成果として中間報告書を刊行できたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究を進めるに当たり、浦河町や松本市以外で在宅医療を実施している医療機関があるという情報を得ている。今後は、上記以外のフィールド先でフィールド調査をすることを視野に入れて次年度に臨みたい。また、看取りの現場では、本人はもちろんこと、家族へのインタビューが個人情報の問題等で、困難な状況がある。なるべくインタビューを試みるつもりだが、難しい場合は、専門家の聞き取りを中心に進めていきたいと考えている。
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