研究課題/領域番号 |
22520836
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
三枝 憲太郎 関西大学, 政策創造学部, 准教授 (90454595)
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キーワード | 社会人類学 / イングランド / 移民 / 拡大EU / カントリーサイド / 住民運動 |
研究概要 |
本研究の目的は、2004年のEU拡大以後、急激に増加した東欧系移民労働者が、農村部の地域社会に与えてきた影響を具体的に明らかにすることである。平成23年度は、研究計画に従って、8月から9月にかけての1ヶ月間、ヘレフォードシャにおいて、地元行政当局者たちの移民への対応の実態と、移民を雇用している雇用者たちの意識についての理解を深めるためのフィールドワークを行なう予定であった。しかし、現地で事故に遭い移動が制限されたために、十分な時間を調査に費やすことができなかった。地元自治体ならびに警察では、移民労働者の急増に合わせて、特に人口の多いポーランド人を職員として雇用し、その対応にあてている。この2人は現地に形成されつつあるポーランド人コミュニティの中心でもあるため、今回の調査では、特にこの2人から集中的に話を聞く予定にしていたのだが、実現しなかった。但し、電話とメールを使った別の担当者への聞き取りでは、政府の超緊縮財政のあおりを受け、移民対策プロジェクトの多くは中断に追い込まれているとのことであった。他方、移民の雇用者の側には大きな変化が生まれており、当初移民の雇用をめぐって激しく対立していた住民との間に協調体制が構築されるようになっていた。また、ポーランド人とリトアニア人という初期の移民たちは、当初の単純農業労働者の位置から、農場のマネイジャーやオフィスワーカーへと急速にミドルクラス化し、その後をルーマニア人とブルガリア人が埋めるという形で移民内部の階層化が進行している実態が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
夏期調査時に事故に遭ったことが原因で、相互のスケジュールを調整できず、予定していた人々とインタヴューをする機会を失い、調査を実行することがほとんどできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成24年度夏期にも、ヘレフォードシャでの1ヶ月のフィールドワークを予定している。本年度行なうことのできなかった調査も合わせて行なえるように調整する。最終年度には、ポーランドならびにリトアニア人コミュニティの中核を担っている人々にインタヴューを行なう予定であるが、このうちポーランド・コミュニティのメンバーの一部は、行政担当官でもあるため、比較的容易に調整することができる。最終年度の調査では、EU拡大から8年を経て、当初の混乱から安定期に入りつつある現状をとらえることに焦点を絞りたい。様々な意味でセグメント化している移民たちの声を聞くとともに、安定化=不可視化しつつある移民たちがカントリーサイドにおいて獲得してきた位置を確認したい。その上で、調査内容をまとめる作業を行ないたい。
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