研究課題/領域番号 |
22520838
|
研究機関 | 北海道開拓記念館 |
研究代表者 |
池田 貴夫 北海道開拓記念館, 学芸部, 学芸員 (30300841)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 民俗学 / 北海道 / 雑魚 / 資源 / 環境 |
研究概要 |
本研究は、いわゆる「雑魚」などとして扱われる淡水魚が、いかなる目的で資源化され、どのように採取・利用されてきたのか、さらにはそれらの変容と消長の過程を民俗学的視点から明らかにし、飽食の時代に進むなか人々の志向が海産物に傾く一方で忘却されてきた民俗知識を掘り起こし、それをもとに、内水面の生態系をめぐる環境教育、道徳教育、来るべき食糧問題、地場の資源を取り入れた商工観光構想、文化構想に寄与するためのチャートを作成することを目的としている。平成24年度は、上記目的と単年度研究計画に基づき、以下の研究を行った。 1.前年度から継続して、北海道開拓記念館所蔵文書資料などを中心とした文献調査を行い、開拓期におけるウグイと人間の関係に関する記録を収集した。また、アイヌ民族における淡水雑魚の利用形態や精神的位置づけ(神格化の状況、口承文芸における淡水雑魚の扱われ方など)についての情報を収集した。 2.主に北海道道東・道北部においてフィールドワークを行い、特にウグイから出汁を取る技術と料理についての調査、および雑魚漁に関係する民具の調査を行った。 3.岩手県、近畿地方、岡山県、九州地方、沖縄県において、ウグイ、オイカワ、フナなどの資源化の歴史と現在、および北海道産コマイの食用としての流通に関する情報を収集し、北海道との比較対象事例としてのデータベース化を行った。 4.平成22~24年度の調査成果と科研申請以前の予備調査成果をもとに、日本人において雑魚とは何なのかという根本問題について、特にウグイやコマイに対する認識の地域差・時代差に焦点を当てて小論化し、『北海道新聞』や『北海道開拓記念館だより』などに寄稿し、研究成果の公表・普及に努めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「雑魚」などとして扱われる淡水魚が、いかなる目的で資源化され、どのように採取・利用されてきたのか、さらにはそれらの変容と消長の過程を民俗学的視点から明らかにしつつあり、その成果を着実に公表している。フィールドワークと並行して、文献調査に力を入れることにより、より一層の成果が見込まれる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、やや遅れ気味の文献調査を、早急に進めていく。また、最も効果的な季節におけるフィールドワーク、あるいは行事などの日程に合わせたフィールドワークを行うべきであるが、予定通りに遂行できなかった調査も残っているため、それらの調査を優先的に進めていく。
|