本年度は、本研究にとって不可欠でありながら、当該研究機関においてほとんど備えられていない「評定所」関係の図書・史料を精力的に購入し、その分析に取り掛かった。 また、京都大学付属図書館、東北大学付属図書館、国会図書館、内閣文庫、東京大学法制史資料室等の「評定所」関係の史料が所蔵されている機関を広く渉猟した。 そして、収集した史料を基礎として、データーを整理することを開始した。その際留意していることは、近世の中期を一つの画期としてその前後において評定所の果たした役割がどのように変化しているかという視点を常に持つことである。さらに、評定所が中心となって実施された政策のなかに各地方の独自の状況を顧慮したものがどの程度存在しているかを見極めることも肝要であると思われる。そして、同じ幕府の領地でも、江戸、大坂、京都等における相違点も一部存在していることを既に確認しつつある状況である。 本年度の研究を基礎として、来年度はさらに広範な調査と分析を予定している。なお、3月に再度の東北大学への調査を予定していたが、震災のため取りやめた。
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