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2011 年度 実績報告書

対席調停の対話プロセスの実態に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22530006
研究機関大阪大学

研究代表者

仁木 恒夫  大阪大学, 法学研究科, 准教授 (80284470)

キーワード対席調停 / 司法書士 / 対話秩序 / 日米比較 / 解釈主義
研究概要

平成23年度は、対席調停のセッション場面において、フランクフルト学派のミメシス論に依拠したTaussigの理論がどのように妥当してくるのかを検討した。かかる検討から、多くの調停技法において言及されている「繰り返し」や「言い換え」を媒介して、双方当事者と調停者のあいだで他者への同化を志向しながらなお、ズレを消滅させることのない共在の場が生成される可能性への見通しを得るに至った。研究成果の公表に極めて重要な基盤を獲得した。
また、アメリカの民間メディエーション機関の訪問調査からきわめて重要な知見を得ることができた。初年度の予備的調査およびコロンビア大学のLiebman教授の助言により、地域に定着していると評価されうるサンディエゴのNational Conflict Resolution CenterおよびニューヨークのNew York Peace Instituteに質問票に基づく聞き取り調査及び、両機関でのメディエーター基礎トレーニングを体験することができた。いずれも問題解決型の調停モデルをベースにしている一方で、トランスフォーマティヴ型調停の影響を多分に受けていることが確認された。この点は、対席場面でのミメティックな行動に焦点を当てる本研究においてきわめて重要な示唆を与えるものである。また、本調査では、民間メディエーションがどのように認知され、定着されるようになったかについても多くの情報を得ることができた。かかる知見は、わが国の民間調停の普及戦略において、重要な手がかりを提供するものと期待される。
他方で、以上の理論的枠組及びアメリカの調停機関での実態と比較したとき、わが国の対席調停の実態では、その理論モデルとの乖離が強く浮かび上がっている。現在筆者の手元にある、わが国の調停実践に関する資料からは、アメリカ型の対席調停モデルの枠組及び技法が、調停者に十分に習得されていないことがうかがわれるのである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画にそって文献調査および実態調査が進んでいる。わが国の司法書士が関与する民間調停については、もともと事件数が多くないことから少しずつではあるが、きわめて貴重な実態調査資料が獲得されている。また、アメリカ調査はコロンビア大学での在外研究の機会を得て当初の計画を大きく上回る成果を獲得している。

今後の研究の推進方策

当初の計画通り研究を進めていく。すなわち、今年度の研究は、これまでに獲得した理論枠組に依拠して資料の分析を中心的におこなう。ただし、23年度のアメリカ調査の成果からきわめて重要な情報が獲得されており、これに関してはさらに調査を継続する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 集合住宅の近隣紛争と対話フォーラム--マンションADRの可能性2011

    • 著者名/発表者名
      仁木恒夫
    • 雑誌名

      マンション学

      巻: 38 ページ: 58-61

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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