本研究は、明治期から現代に至る日本のローマ法学研究の成立と展開という課題のうち、わが国におけるローマ法研究の先駆者である千賀鶴太郎博士(1857~1929)を中心にそのパーソナルヒストリーを描くとともに、ローマ法研究とローマ法講義の特質を明らかにし、ローマ法学研究史の中にあらためて両博士を位置づけることにある。これまで、千賀博士のローマ法に関する著作等の蒐集・整理、内容の分析を試みてきたが、本年度は、その特質を明らかにするために、同時代のローマ法学者、戸水寛人博士(1861~1935)にも焦点をあて、両博士のローマ法学研究方法の比較を通じて、我が国におけるローマ法研究がどのような性格をもったものであったか、明らかにするための基礎作業を行った。それと同時に、帝国大学における法学教育の中で法制史・ローマ法の講義がどのような位置づけを与えられてきたかについての一定の見通しを得るための基礎的調査を行った。その成果の一部は、下記Webサイトに、千賀博士、戸水博士の著作目録などとして、公表し、随時改訂の上掲載している。なおローマ法関連の学会報告(葛西康徳教授と共同報告)1件を行った。
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