研究概要 |
本研究は、明治期から現代に至る日本のローマ法学研究の成立と展開という課題のうち、わが国におけるローマ法研究の先駆者である京都帝国大学教授、千賀鶴太郎博士(1857~1929)に焦点をあててきたが、博士のパーソナル・ヒストリーを描く上で不可欠のの点、(1) ドイツ留学以前における経歴、(2) ドイツ留学時代における千賀博士のベルリン大学での学修と同東洋語学校での業績、(3)京都帝国大学法科大学教授就任経緯について未解明の点を明らかにすること、併せて 千賀博士との対比で、東京帝国大学の戸水寛人博士の『羅馬法講義』の再検討を中心に研究を進めた。 本研究の成果としては、(1)について、博士のご親族からの聞き取り調査により、(2)についてはベルリンの「国立プロイセン枢密文書館」(Geheimes Staatsarchiv Preussischer Kulturbesitz, Berlin/Dahlem)における資料調査を通じて知り得た千賀博士自筆の自歴書の分析などにより、ベルリン東洋語学校在任中の事蹟を一端を明らかにすることができた。(3)については、京都大学等における調査を行ったが、その経緯に関してすべてを明らかにすることはできなかった。戸水博士『羅馬法講義』と対比を通じて、ローマ法講義の一端を明らかにすることができた。以上の千賀博士及び戸水博士についての研究成果は、部分的であるが、WEB上で、それぞれ「千賀鶴太郎博士著作目録」(http://home.hiroshima-u.ac.jp/tatyoshi/senga001.pdf; 平成25年2月27日最終改訂)、「戸水寛人博士著作目録」(http://home.hiroshima-u.ac.jp/tatyoshi/tomizu001.pdf; 平成24年12月17日最終改訂)の中で公表しているが、冊子体としての公表を準備している。
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