研究課題/領域番号 |
22530015
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
阿部 博友 一橋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40549143)
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キーワード | ブラジル会社法 / ブラジル証券市場法 |
研究概要 |
平成23年度は、本研究の第2年度として、学会(ラテンアメリカ政経学会)における研究成果の発表を行ったほか、ブラジル弁護士との打合せやブラジル証券取引委員会(CVM)とも意見交換等を通じて研究を深化させることができた。また、研究テーマと密接に関係する、ブラジルの新法令「競争保護法」について和訳を行い、日系企業のコンプライアンスに役立てるため、ブラジル日本商工会議所のホームページに和訳を掲載したほか、複数の研究グループに和訳を配布して情報提供に務め、さらに企業法務実務家への講演や共同研究などを通じて、実務とも密接な関係を有する奥深い成果を得ることができた。また、これらの研究成果は平成24年1月より順次著名な法律雑誌『国際商事法務』において連載しており、これらは80年代以降一時途絶えていたブラジル企業法研究の再興として法学界のみならずラテンアメリカ社会・経済研究者の注目を集めることができた。 上記の通り、ブラジル会社法および証券市場法制の研究を中核としつつ、研究範囲を拡大して競争法(独禁法)の研究にも注力した背景としては、同法が平成23年11月に全面改正され、カルテルの取締りなど執行が強化・厳罰化されつつあり、同国内のみならず世界的注目を集めつつある現状をあげることができる。因みに競争法は、ブラジルにおいても経済法規の中核的存在である。その他、国際ビジネスに関連する贈賄関連法などを含め、ブラジル経済法全般に研究領域を拡大している。最終年度にあたる平成24年度おいては、会社法や資本市場法を中心に、ブラジルにおける企業活動に重要な経済法関連領域の研究成果の集大成を行い、これらの成果をより幅広い範囲で公表し、情報発信することが優先課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は順調に推移している。ブラジル会社法および証券市場法について、その概要を把握し論考として発表したほか、同国競争保護法まで範囲を拡大して、その成果をWEBで公表するなど研究内容は充実している。
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今後の研究の推進方策 |
過去2年間の成果を集大成することが平成24年度の目標である。ブラジル会社法および証券市場法について、ブラジル弁護士や現地証券委員会との協力・取り纏めが順調に推移しているので、平成24年度はこの成果の公表に注力する。また、日本の企業法務部のブラジル法務担当者との情報交換や国内弁護士でブラジル法を担当している者に加え、中国競争法研究家との連携も進んでいる。平成24年度はこれらの成果も公表すると共に、今後のさらに幅広いブラジル経済法研究に役立てていく。
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