本研究は、「総合行政主体原理」が地方自治の基本理念との間に孕む緊張関係に対する問題意識を出発点として、地方分権・地方自治および協働に関する日仏の基本的な考え方の相違を解明した上で、地方分権改革の方向性を大局的に把握しつつ、自治体間協力組織および契約手法を重要な構成要素とする協働システム全体像のなかで、地方分権・地方自治のありようを探究した。現在進行中である日本およびフランスの地方分権改革の方向性を、通時的・共時的文脈のなかに位置づけながら大きく見通したが、フランスにおける2010年12月16日法律を受けた改革作業、とりわけ、その焦点の一つである行政組織の再編(市町村間協力組織の再編・合理化)は、大都市制度をも含む日本の議論状況に対して大きな示唆を与えるものである。
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