研究概要 |
消費税制の基礎研究に関し、平成22年度及び23年4~9月の期間には、以下のような課題に取り組んだ。 1.消費税の逆進性が指摘されることに関連して、「逆進性」概念を明確化するとともに、税制が所得分配に与える影響を歳出面の政策と合わせて総合的に評価するための枠組みや消費税課税のプロセスにおける情報の役割について考察した。その成果については、本報告書の「研究発表:雑誌論文」の項目に掲げた3本の論文に反映されている。 2.個別取引との関連では、特に、固定資産(土地・建物)取引に消費税を適用する場合の問題点を検討した。これについては、『住宅土地経済』(第79号、2011年)に掲載された「座談会:住宅市場と消費税」においても見解を述べた。また、Robert Brederode ed.,Immovable Property under VAT: A Comparative Global Analysis,Wolters Kluwer,2011の"Japan"の章(pp.163-179)を執筆した。 3.国際比較に関しては、EU・中国・ニュージーランドの消費税制に関する基本的文献を調査した。特に、平成22年度は、ニュージーランドに重点を置き、文献調査をもとに、「ニュージーランド税制改革における消費課税」『税務弘報』2011年7月号104-111頁という概観的な論文を執筆した。また、8月20日から29日にかけて、ニュージーランドに出張し、ウェリントン・オークランドの大学・官庁を訪問した。この際の面談に基づき、Victoria University of WellingtonのProf.David Whiteと両国の消費税に関する比較研究を行っていくこととなった。
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