• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

立憲主義の興隆が憲法理論に及ぼす影響に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22530031
研究機関名古屋大学

研究代表者

愛敬 浩二  名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10293490)

キーワード公法学 / 憲法学 / 法哲学
研究概要

グローバルなレベルで確認される「立憲主義の興隆」が、憲法理論に対して、どのような影響を与えるのかを検証することが本研究の課題である。その際、「憲法改革」以前は、政治哲学等との共同が限定的であったイギリス憲法理論が、「憲法改革=憲法秩序の立憲主義化」の後、どのような変容を被ったのかを分析する。平成23年度の当初の研究計画は、「憲法改革」以前の憲法理論の特徴の把握(と伝統的憲法学に対する現在の憲法学者の理解・評価の分析)に努めた22年度の調査を前提にして、「憲法改革」以降の憲法理論の動向を調査することにあった。そこで、1998年人権法制定後のイギリス憲法学者の理論動向の調査・検討を行った。そして、「政治的憲法」に関する理論の分岐を検証することで、現在のイギリス憲法理論の状況を鳥瞰する論文を執筆した。「政治的憲法論の歴史的条件」(「図書」の欄に挙げた共著書に収録。65-84頁)では、「政治的憲法」の歴史的諸条件を政治学・社会経済史学の研究成果を踏まえつつ検討した。同論文の概要を、イギリスの憲法学者Keith Ewing教授を迎えて開催されたイギリス憲法研究会のセミナー(2012年4月21日)で報告したところ、Ewing教授との間で有意義な質疑・応答をすることができた。「政治的憲法(Political Constitution)論の歴史的条件」では、前記論文の成果を踏まえて、日本憲法学の理論状況に対して問題提起を行った。また、英米憲法理論の変容という観点から、9.11事件以後の憲法理論の動向(立憲主義の動揺)を継続的に研究しており、その成果を論文として公表した。
一方、本研究課題の究極的な目的は、日本憲法学の理論動向の検討であることから、「憲法学における歴史研究の意義・機能」という限定的な観点からではあるが、「立憲主義の興隆」後の日本憲法学の変容を検討する論文を公表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究内容の面では、(1)当初の計画以上に進展しているとの評価も可能である。実際、本研究課題の研究成果を踏まえた著書の執筆の計画が既に具体化している。ただし、23年度に予定していた海外調査を、学内の業務の繁忙さのために行えなかったため、24年度に追加的な海外調査を行う予定である。その結果によっては、現在計画中の著書の内容にも修正が必要となる。そのため、(2)を選んだ。

今後の研究の推進方策

イギリスの憲法理論の変容に関する研究成果を体系的なかたちで公表する。論文のかたちで行うか、著書の一部として行うかは検討中である。ただし、追加的な海外調査を計画中であることは、「11」で述べたとおりである。過去2年間の研究活動から、イギリス憲法理論の変容に関して一定の研究成果を挙げることができたので、24年度は、1990年代以降の日本の憲法理論の変容について研究する。イギリスと日本の憲法理論の比較研究を通じて、「立憲主義の興隆は、憲法理論と政治哲学の交流を加速化させる」という命題(研究課題の設定当初、私が予測した研究結果)の妥当性を実証的に明らかにする。その成果を論文(もしくは、現在計画中の著素の一部)として公表する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 政治的憲法(Political Constitution)論の歴史的条件2012

    • 著者名/発表者名
      愛敬浩二
    • 雑誌名

      季刊企業と法創造

      巻: 8巻3号 ページ: 63-75

  • [雑誌論文] 憲法学と歴史研究2011

    • 著者名/発表者名
      愛敬浩二
    • 雑誌名

      公法研究

      巻: 73号 ページ: 1-20

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 自由と安全のトレードオフ2011

    • 著者名/発表者名
      愛敬浩二
    • 雑誌名

      ジュリスト

      巻: 1422号 ページ: 29-35

  • [図書] 国家と自由・再論2012

    • 著者名/発表者名
      愛敬浩二、樋口陽一, ほか16名
    • 総ページ数
      382
    • 出版者
      日本評論社

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi