●研究内容 ヨーロッパの都市の環境施策は、EUの環境政策とそのルール(指令など)に沿って実施されることから、今年度は最新の情報の取得し、分析した。特にEU加盟国の中でも、税制と連結して環境政策を推進させている環境先進国(オランダやドイツ)の制度設計の現状を把握した。 ●研究成果 低炭素社会に関しては、EU諸国の住宅のエネルギー効率化に関する法的規制や経済的インセンティブの付与といった仕組みに着目した。EU諸国では、強い法規制(建設許可)と補助金、税の減免によって、住宅のエネルギー効率を高めている。また、循環型社会に関して、EUでは、建築系廃棄物にかかる厳しい法規制や埋立て税によって廃棄物を削減するとともに、リサイクルを徹底して行っている。 EU諸国の中には、地方団体の課税権が弱いため、国税によって、経済的インセンティブを付与している国も少なくない。 ●研究成果から得られたわが国への示唆 上記の研究成果から、EU諸国に比べ、わが国では環境施策として経済的インセンティブを付与する方策が多く用いられていることが判明した。とりわけ地方税の枠組みを使って、地方自治体がそれぞれ環境施策を講じている。しかし、規制的手法は弱く、今後、環境施策の効果を上げるためには、規制的手法を強める必要があると考えられる。
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