研究課題/領域番号 |
22530036
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
柴 由花 明海大学, 不動産学部, 准教授 (20383193)
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研究分担者 |
西山 由美 東海大学, 法学部, 教授 (20296221)
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キーワード | 低炭素社会 / 循環型社会 / インセンティブ税制 / 規制的手法 / 経済的手法 / ETR / リスボン条約 / 環境税の廃止 |
研究概要 |
●研究内容 ヨーロッパの都市の環境施策は、EUの環境政策とそのルール(指令など)に沿って実施されることから、今年度も昨年度同様、最新の情報の取得し、分析した。特にEU加盟国の中でも、税制と連結して環境政策を推進させている環境先進国(オランダやドイツ)の制度設計の現状を把握した。EUの環境政策の法的根拠と背景に関する昨年の研究を踏まえ、EUにおける環境税の新たな潮流(いわゆるETR)に関する検討を行った。 ●研究成果 2012年3月の現地調査では、オランダ環境税が一部廃止されることとなっていたことを把握し、新たな知見を得ることができた。2012年2月のオーストリアにおける現地調査では、同国の反原子力政策に立脚した「グリーン・エネルギー政策」の成果を確認することができた。 ●研究成果から得られたわが国への示唆 わが国では、地方税の枠組みを使った環境税が構築されつつあるが、オランダのように、税収よりも執行費用がかかる場合や十分な環境保全効果が得られない場合は、環境税を廃止することも必要である。環境税を労働に対する税に代替するものとして位置付ける改革(ETR)は、環境政策が財政政策や労働政策と密接に関係していることを考えれば、わが国においても検討の余地があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、低炭素社会、循環型社会の統合のために、インセンティブ税制の可能性とその問題につき研究を行うとともに、税をインセンティブとする行政契約のあり方についても考察を加えるものであるが、研究の過程において、オランダでの環境税の廃止やEUにおける環境税の新たな潮流(いわゆるETR)についても考察を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はこれまでの研究成果を公表取するためにオランダ王国デルフト工科大学建築学科フレッド・ホブマ准教授を招聘し、シンポジウムを開催する。また、研究成果を報告書としてまとめる。 報告書の内容は以下のとおりである。 まず、ヨーロッパの都市の環境施策は、EUの環墳政策とそのルール(指令など)に沿って実施されている。本年度は、分析結果を総括する。 次に、EU加盟国の中でも、税制と連結して環境政策を推進させている環境先進国(オランダやドイツ)の制度設計の現状について分析結果を総括する。とりわけオランダでは、2012年に7つの環境税が廃止され、これまでのグリーン税制のあり方に転機を迎えていることから、廃止の背景についてインセンティブの観点から分析を行う。また、ヨーロッパでは、環境税の税率を引下げるとともに、政府と民間団体とがボランタリー・アグリーメントを締結することが少なくない。こうした事例について、法的観点から分析を行う。 最後に、今後の日本の低炭素社会と循環型社会の統合に向けて、ヨーロッパの環境税制から示唆を得る。
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